自分の足で(その3)

あらすじ
知人の冷蔵庫購入につき合わされている自分。
最初は350リットルぐらいの容量の冷蔵庫を購入する予定だったのに、店員の口車にのせられて、どんどんランクアップしていくかに思われた知人だったが、冷蔵庫を2ランク上げられたところで冷静さを取り戻して、店員の攻勢に水を差す。

すわ、自分の出番と感じたので、店員さんを一旦遠ざける作戦にでる。

「じゃあ、ちょっと商品もじっくり見てみて、考えを整理しますんで。ありがとうございました。」

「は、はい。なにかありましたらお声をおかけください。」

型どおりの対応。さすが、熟練!

熟練店員さんが離れるのを確認してから知人に聞く。

「どう? ずいぶん推されていたみたいだけど...迷ってる?」

「えっ! ああ、真剣に話していたから一応聞いてるフリはしたけどね」

「ああ、そうなんだ」

「なんで、店員って上を勧めてくるのかね?」

「そりゃあ、商売だし、前のよりいいのが欲しいって気持ちは誰にでもあるから、ちょっと推したら『やっぱり、そっちの方がいいかな』とか思うんじゃない?」

「なるほどね」

『こいつ、思った以上に冷静だ』と感心した瞬間。

「まあ、こっちの(400リットル)クラスでもいいかなとは思うけど。型も同じ感じだし...」

『ちょっとは洗脳されてるぅ』

「でも、12万弱をこの間試しに聞いたら9万円ぐらいまでならという話だったんだよ。それも確定じゃない。それなのに、こっち17万弱じゃん! 引いたって14万弱ぐらいにしかならないよ、きっと。」

「ただね、何かあるかと思って13万おろしてきたから、手持ちで言うと15万以上あるから買えないことはないんだよ」

「いや、4万以上あがるんだよ?」

「9万だったらね」

「いや、K店だったら間違いなく9万5千円弱だったじゃん! 9万にならなくても、最悪そっちで買えば10万は切るのに...」

「でもさ、電気代も安いし」

『見てやがったぁ、何気に見てやがったぁ』

こいつのことだから最初は見ていなかったはず。さっき2ランク上のバカデカイ冷蔵庫から1ランク上の冷蔵庫に戻ってきたついでに最初の冷蔵庫の表示を見やがったに違いない。

「確かにね」

実は、でも自分も若干洗脳はされていた。悪くはないのだ。高さは問題ないはずだから14万を出す気になるのであれば、年間2000円の差はデカイ。

こいつは今回買い替えだが、今使っている冷蔵庫が20年近く前のだと言う。20年使うと考えれば2000×20で4万円。

ほぼ、差額に匹敵するのである。

まして、これから電気料金は値上げはあっても値下げはあるまい。そう考えるとこの差額も相対的に広がることになる。

結果的には得かもしれないと考えたのだ。

「じゃあ、こっちにするか?」

「いやあ、迷ってるんだよね。買える金があるだけにねぇ、使っちゃっていいものか?」

『おのれが好きでおろしてきたんだろうがっ!!』

「まあね」

「どう思う? いやあ、本当は冷蔵庫買う予定なかったんだよなぁ」

『ここにきて、そもそも論ですか? さすがに冷蔵庫一つで第3ラウンドまでモツレ込むのは厳しい。』

「でも、買うためにおろしたんだよね」

「そう。買いたいんだけどね」

「じゃあ、初志貫徹。350リットルの冷蔵庫にしたら?」

「でも、電気代がさあ」

「でも、安いよ。一気に出て行く金のほうが日々出て行くお金より痛い気がしちゃうじゃん」

「そうなんだけど。あーっ! どうすっかなぁ」

『どうすんのよ!』

(つづく)

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