フィルム哀歌 サビ

彼は問う。

ホコリのない環境でフィルムを貼りたい自分に、ホコリのない環境をどうやったらつくれるのかと。

風呂場ではダメだと。

ショップの人たちはどうしているのだろうかと。

確かに、ショップで貼ってもらうとホコリなど入らずに綺麗に貼ってもらえる。

だが、あのショップにクリーンルームがあるとは思えない。

「エアクリーナーみたいなスプレーで吹き飛ばしながら貼ってるんじゃない?」

「でもね、おれもスプレーで飛ばしながらやったら画面から吹き飛んだホコリがフィルムの粘着面に付着しちゃうんですよ」

「ダメですか」

「はい」

「じゃあ、専用のツールみたいなもので付いても取り除けるんじゃないかな?」

「セロハンテープで取れるんですけど、でも違うのがどこかで入っちゃうんですよ」

「ダメですか」

「はい」

「じゃあ、やっぱりホコリのない空間で貼るしかないのか?」

「そうです」

「うーん、とりあえず手からも古くなった角質とかが落ちちゃうから、クリーン状態の空間に手が直接入らないようなそれでいてフィルムを貼る作業ができるような工夫が必要じゃないかな?」

「つまり、よく見る病院の保育器みたいな手袋のついたアクリルケースみたいな物って事ですか?」

「そこまで専門的に用意できなくても布団圧縮袋とかを代用して...」

「どうやってフィルム貼るんですか?」

「こう、ガサガサやれば習練と慣れで貼れるようにならないかな?」

「第一、携帯とフィルム入れるときにホコリが付着していたり、入り込む可能性があるじゃないですか」

「ダメですか」

「はい」

「真空に近い状態にすればホコリが入っても、ホコリが舞っても長時間空中に留まらないんじゃないだろうか」

「空気の対流もなくなるし、空気抵抗自体がすくなくなりますもんね」

「そう!」

「でも、その状態にするための容器が難しくないですか?」

「ああ、結局保育器みたくしなきゃいけないし、保育器の手袋よりもしっかりと気圧に耐えられる手袋が付いてないと作業できないか」

「固すぎても柔らかすぎてもだめですよ、まして、携帯を入れてから密閉しないといけないし、吸い出し用のコンプレッサーが必要ですよね」

「余計、複雑で費用がかかる感じなっちゃったね」

「そうですね」

「ダ...」

「もう、それいいです。気に入ってるかもしれませんけど」

「はい...」

「どうしたらいいですかね?」

「あっ、なんとなくなんだけど、冷凍庫の中って空気綺麗そうじゃない?」

「ああ、ホコリ同士が固まって、大きくなって下に落ちやすくなりそうですしね」

「ほら、お向かいって冷凍倉庫じゃん。お願いしてみたら?」

「でも、あそこは出入りが激しそうだから、結構ホコリ舞ってそうですよ」

「そして、フィルム貼り終わった後出てきたら、結露して携帯自体がダメになりそうだしね」

「ああ、そうですね」

「ホコリを含まない空気を作るのも難しいよね」

「あっ! 高温で燃えている空気ってホコリも燃えているから綺麗そうじゃないですか? だから、炉の空気を直接吹きかけながら貼ったら綺麗に貼れそうじゃないですか?」

「そうねえ...そうかもしれないが、火事場では熱せられた空気を吸い込んで気管を火傷して呼吸困難になる人もたくさんいると聞く。作業する君の手は大丈夫かね?」

「第一、フィルムがもちませんね」

「携帯だって無事ではすまないかもしれない」

「ダメですね」

「ああ、ダメだね」

「どうしましょうか?」

「じゃあ、風呂場で...」

「やっぱり、風呂場ですか...」

「いいじゃないのぉ。」

「ダメよぉ、ダメダメ」

「とにかく、風呂場が簡単に実現できうる最善の環境だろうから、そこで携帯の画面をこう下に向けて貼る。どう?」

「いいですか? 下に向けるということは両手で持つので一人では貼れないです。貼れても恐ろしく難しいです」

「ああ、そうか。じゃあ、四隅に糸をテープで止めて吊るして、フィルムを持って貼る」

「テープがはがれて落ちないか気が気じゃないわ!!」

「それに、貼るとき力入らないね」

「そうですね。無理なのかなあ」

「じゃあ、下向きほどは良くないだろうけど携帯を立てかけて、なるべく縦にした状態で貼るのはどうだろう? フィルムも縦になるから両方にホコリが付きにくいだろうし」

「ああ、それいいかもしれないですね。また、ホコリ入っちゃいそうですけど」

「うーん、難しいね」

「グーグルで『ホコリの入らないフィルムの貼り方』って検索した出て来ますかね」

「どうだろね」

案外、無難なところで決着が付きました。

もちろん、彼は納得はしていないでしょう。

よい方法をご存知の方はご一報を。

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コメント

こんにちは

お邪魔します(^_^)

「高温で燃えている空気……」のくだりで思い出したのですが、高校の生物で大腸菌に緑色に光る遺伝子を導入するという実験をしたことがあります。
そういう繊細な作業となると、やはり空気中の落下細菌などが混ざってくると困りますよね。
そこで、簡易的に無菌に近い状態にするために、ガスバーナーを強めにつけて、その火より下の半径20cm以内くらいの範囲で作業をしました。
ガスバーナーの火の下なら、ガスバーナーの火で上昇気流が起きていて、落下細菌などが落ちて来にくいとか。
長々と書いてしまい(しかもわかりづらい)ましたが、上昇気流が発生していればホコリもあまり落ちてこないかも……。
(これまた家では難しいかもしれません^^;)

Re: こんにちは

紫雲さんへ

> お邪魔します(^_^)

まったく、邪魔じゃないです! ^^

ありがとうございます!
ぜんぜんわかりづらいことないですよ。彼に伝えておきます。
「なるほど」っていいそうですよ。
結構な長髪なので、火でもつけてその下でフィルム貼らせます。
楽しみに待っていてください。

真面目な話でいうと燃えカスの出ないものが好ましいですよね。
ガスだと二酸化炭素と水蒸気だけなので理想的ですけど。
また、二人で考えてみますね。

でも、紫雲さんはそんな生物の実験をされていたんですね。
ちょっと楽しそうで、自分もやってみたくなりました。
学校を卒業すると、実験なんて、まあやる機会がないですからね。

おっと、こちらが長々と書いてしまってすみません。

でも、コメントは伝えたいことがあればどんなに長くても構いません。
うれしい限りですので気にしないでくださいね。

コメントありがとうございます。<^-^(敬礼)
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